2012年04月の記事一覧

大阪市立東洋陶磁美術館『マイセン磁器の300年』

昨日、大阪中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館に行ってきました。

1982年の開館から30周年ということで『国立マイセン美術館所蔵 マイセン磁器の300年』

 という特別展が開催されています。

 堂島川に面し静かなこの美術館いっぱいに東インド会社からもたらされた磁器の模倣から

 オリジナルな磁器製造へと続くマイセンの華やかな歴史が展示されています。

 ザクセン選帝侯兼ポーランド王のアウグスト強王の命令のもと磁器製造を1710年に

 王立磁器製作所が、ドイツ東部のマイセンの地に開窯したのがマイセンの始まりです。

 彫刻家ケンドラーによるメナージュリ動物彫刻「嗅ぎ煙草入れを持つサル」は、貴族に

 対する風刺が織り込まれた作品で、何ともいえない表情のサルが、かわいらしいです。

 動物彫刻は、それぞれ「いい顔」しています。(笑)

 マイセンといえば思い出すブルーオニオンやマイセンローズの食器もあり欲しくなって

 しまいます。小さな花をたくさん貼り付けたスノーボールの食器や壺は、本当に見事で

 した。女性ファンの多いフィギュリンももちろんたくさんあり、楽しい時間を過ごしました。

 また、有田の柿右衛門様式の壺とマイセンの壺が並んでいるコーナーも興味深かったです。

 平常展では国宝「油滴天目茶碗」、「嗅ぎ煙草入れを持つサル」が手に持つ、嗅ぎ煙草入れの

 鼻煙壷(沖正一郎コレクション)等も拝見でき休日の午後を堪能しました。

 最後に東洋陶磁美術館に行かれる際は、ホームページから入場割引券を印刷して行きましょう。

 

大阪市立東洋陶磁美術館で開催中の『マイセン磁器の300年』

の詳細は⇒http://www.moco.or.jp/

開催期間 4/7~7/22まで

井上萬二 白磁壷

純白の白磁といえば、人間国宝の井上萬二先生です。

ファンの方も多く、弊社サイト『美術品の極』でも問い合わせが多い作家の一人です。

さて今回はその井上萬二先生の白磁の壷をご紹介したいと思います。

ご覧下さい、この純白の輝きそしてこの形を。

(商品の詳細は写真をクリックしてください)

この形も轆轤(ろくろ)から生み出されます。

白磁の人間国宝は轆轤の名人でもあるのです。

端正な姿・・・、どちらかというと愛らしい形といえましょう。

サイズも程よい大きさで、いろいろな広さのお部屋に置いて楽しめそうです。

また、高台の削りが素晴らしく、見所の一つです。丸みを帯び横に広い体を

シャ-プに削り取られた高台が支えます。

相反する要素が、絶妙なバランスで一つの壷を構成しているのです。

今まで、壷類を購入されたことがない方にも自信を持ってお勧めできる作品かと思います。

 

 

 

三輪龍作(現 十二代 三輪休雪)

三輪龍作(みわ りゅうさく)

「愛文酒盃」

三輪龍作先生の世界感は、可視化(実際に見えないものを見る・感じる)を表現される。

この酒盃も、誰かが思いを発してくれているように感じる。

ハートが上向きだったり、下向きだったり、盃の中を覗き込むとキュートなハートがまた一つ・・・。

仕事が終わり、誰かに思いを馳せながら一人呑むお酒、そんな至福の一杯のお供にいかがでしょうか?

 

昭和15年(1940)十一代三輪休雪(三輪壽雪)の長男として生まれる。

本来は叔父(十代三輪休雪)の養子となった弟・三輪栄造氏が継ぐことになっていたが、

平成11年(1999)他界したため、平成15年(2003年)十二代 三輪休雪を継いだ。

長州藩御用窯を務めた400年続く萩の名門窯に生まれながらも、伝統文化の環境に縛られることなく、

焼き物を自己表現として造形的な作品を作り続けてきた。

造形的な作品のモチーフは、ハイヒール・唇・乳房・頭蓋骨といった身体の一部を使い、人の深層心理を飾る

ことなく表現しており、日本映画の映像に出てくるより、アメリのようなフランス映画で使われるほうが向いて

いるように今までは感じていました。

昨年「てふてふ展」を拝見しましたが、純白の雪のような釉薬がどっぷり掛かっている上に、

てふてふ(てふてふとは蝶々の旧仮名使い)が1匹止まっており、春を楽しむてふてふの小さな温もりを感じ

させてくれる作品を観て、今までの「愛(エロス)」とはまた違う愛の表現のように感じました。

亡くなった弟・三輪栄造氏への想いかもしれません。

現代と伝統(名門窯)の世界の中で自らの表現を追い求め、常に歩みを止めない三輪龍作氏の作品から

これからも目がはなせない。

 

 

三輪龍作 作  愛文酒盃

商品の詳細は写真をクリックしてください。

 

大阪市立美術館『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』

今日、開館と同時に大阪市立美術館で開催されている、

『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』に行ってまいりました。

「優雅な朝を送っているな(怒)」と思われるかもしれませんが、勉強の為です・・・

(念の為、言い訳を)。

話を戻しますが、契丹(きったん)とはあまり聞いたことがないと思われる方も多いと思います。

確かに、老子や孔子・楽毅・管仲等が活躍した春秋戦国時代・初の皇帝 始皇帝・

漢帝国を築いた劉邦・三国時代と中国史が好きな方も大抵はこのあたりの話が好きでしょう。

(ちなみに私は中学生から三国志が好きです)

あまり詳しくはないのですが、契丹「遼」帝国は唐滅亡後に遊牧系民族が建国した大帝国です。

史料が少ない為、長年「まぼろしの国」と言われていたようですが、近年、学術調査が進められ

たことによって、遺跡などの新発見が相次ぎ、「まぼろしの国」も少しずつ眠りから覚めてきたよ

うです。

この契丹展は考古学好きにも美術好きにもどちらのタイプの方でも楽しめる内容です。

死者に被せていた黄金の仮面や遺体を覆っていた銀糸の葬衣。金の指輪や赤瑪瑙(あかめのう)

と黒水晶の切子玉などでできた豪華な首飾りといった副葬品の数々は契丹という国がかつて

どれだけ繁栄していたかを今に伝えます。

また、ガラス類や漆・焼物も優品が展示されており中でも、『黄釉鳳首瓶』(おうゆうほうしゅへ

い)や『褐釉牡丹文碗』(かつゆうぼたんもんわん)は必見です。首瓶の形は珍しくないですが、

全面に施された艶やかな黄釉にはあまりにも美しく、碗の牡丹文はスタンプによって施されて

いますが、それを感じさせないくらい活き活きとしていました。

『鏡箱・鸚鵡牡丹文鏡』(おうむぼたんもんきょう)も是非見て頂きたいものです。

みなさんも、再開発が進み活気が出てきた天王寺、近くに天王寺動物園(最近人気スポットです)

等が近くにある美術館ですので、散歩がてらに見に行かれてはどうでしょう。

 

大阪市立美術館で開催中の『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』

の詳細は⇒http://www.osaka-art-museum.jp/special/kittan.htm

開催期間 4/10~6/10まで

 

 

藤田美術館 ~藤田傳三郎の奇跡~

昨日、休みを利用して大阪市都島区にある藤田美術館に行ってまいりました。

私の好きな美術館の一つで、昨日のNHKの日曜美術館でも紹介されていました。

当美術館は明治時代の実業家藤田傳三郎と二人の息子らによって東洋の古美術を中心に収集された

コレクションで、収蔵品5000件の内、国宝9件・重要文化財50件と質の高い文化財・美術品を保存展示

されています。

今企画の内容は、藤田傳三郎の13回忌にあたる大正13年に開かれた追悼の茶会の際に用いられた

美需品の展示です。

中でも特に有名なのが、玄奘三蔵絵(げんじょうさんぞうえ)ではないでしょうか。西遊記で有名な玄奘の

生涯を描く全12巻からなる壮大な絵巻物で、国宝に指定されています。鎌倉時代の作品ではありますが、

保存状態も良く今でも沢山の人を惹きつける魅力溢れる作品です。

個人的に楽しみにしていたのが、交趾大亀香合(こうちおおがめこうごう)です。明から清時代のもので

江戸時代から著名な香合です。この香合、まず面白いのが大きさで、他の亀型香合に見られない

大きさは見るものを圧倒します。

また、彩色も良く、黄色をベースに甲羅に緑等が配され、その影響でしょうか愛らしくさえ思えます。

この交趾大亀香合は藤田傳三郎が長年欲していたもので今の金額で9億円もの大金を払ってまで

手に入れたそうです。

実業家・藤田傳三郎は今の大阪の発展には無くてならない人物です。(元々彼は山口県の出身で、

幕末の志士、木戸孝允や高杉晋作の家が近所で金銭面の支援をしていました)そんな人物が

収集した貴重な美術品がこんな近くで見られるというのも感謝しなければならないように思えます。

今回は展示されていませんが、国宝の曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)もお勧めですので、

機会があれば是非ご覧頂たいです。

 

藤田美術館の詳細はこちら⇒http://www.city.okayama.jp/museum/fujita/

日曜美術館の詳細はこちら⇒http://www.nhk.or.jp/nichibi/

 

セザンヌの名画見つかる・・・『赤いチョッキの少年』

ニュースを見てビックリと言いますか、安心したと言いましょうか・・・?

4年程前にスイスの美術館から強奪されたPaul Cézanne(ポール・セザンヌ)の名画が、

自動車のドアパネル!?から見つかり、容疑者も捕まったようです。

ただ、見つかったのは強奪された、4点のうちの1点。(早く見つかって欲しいです)

何はともあれ「近代絵画の父」と云われる、セザンヌの絵が無事発見されて、本当に良かったです。

 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120413-00000054-reut-int

出光美術館~『悠久の美』を観る~

先日、東京・出光美術館に行ってまいりました。

ここ数年中国美術の人気に伴い、各美術館でその関係の展覧会が多く企画されていますが、

所蔵品でこの催しができる、美術館はそう多くはないはず。

特に今回の『悠久の美』展は、中国の青磁や書画だけでなく青銅器の優品を一堂に鑑賞できる、貴重な機会ではないだろうか。

 

商(殷)や周時代といった2~3000年前に製作された青銅器の品々は、現代においてもその形、装飾を崩すことなく伝わってきているもので、おそらくこのまま数千年先も同じ状態で残っているものではないでしょうか。

もしかしすると、現在美術品として楽しまれている、絵画や陶芸品はその形を変え、保存が厳しいことになる時が来るとしたら・・・

今の文明を象徴するものとして、遠い未来に残るものは、紀元前中国で作られた、この青く輝く器なのかもしれない。そう思いながらこの展覧会を拝見させていただきました。

『悠久の美』ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?

出光美術館http://www.idemitsu.co.jp/museum/ 『悠久の美』2012年4月3日~6月10日まで

 

 

塚本快示 青白磁高杯

 

塚本快示 青白磁高杯
塚本快示 作 青白磁高杯 幅11.0cm 高11.2cm 重さ196g 共箱付

塚本快示 青白磁高杯
200,000円

白磁・青白磁の人間国宝、塚本快示

正直なところ、陶芸の人間国宝で名前を挙げて言っても知名度は低いほうに入ると思う。

その理由は、作品数が少ない・馴染みがないということが一つの原因ではないだろうか。

この高杯は写真では伝わらないほど、薄く造られ、土成形もこれほどシャープにしておきながら、彫模様が多く施されている。

この技術こそ”人間国宝の技”といえるのではないでしょうか。

 

休日の靴磨き (Edward GreenのNEWMARKETを磨く)

先日の休みを利用し、久しぶりに(相棒の?)革靴を手入れをしました。

革靴が、特にイギリスのEdward Green(エドワード・グリーン)が好きでして、

今回はサイドゴアブーツのNEWMARKET(ニューマーケット)を手入れしました。

もう、かれこれ6年くらい履いています。こういうブランドの靴って値が張りますが、

ちゃんと手入れをしてあげれば履込む楽しみがありますね。

靴磨きって、好きなぐい呑をちゃんと乾かして、木箱に収めるのと同じような

自分だけの世界に入れます。

楽しそうに靴磨きをしている間、本当の相棒から呆れた顔が・・・。靴磨きの楽しさって

男だけなんでしょうかね?