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富本憲吉展~奈良に春を連れてきた~

今回は、新人Y本が担当させていただきます。

陶芸の世界では「富本憲吉」という名前を知らない人がいないのでしょうが、 美術の世界を全く知らずに入社した私には聞きなれない名前でした。

富本憲吉は、1955年に重要無形文化財(人間国宝)に認定、1961年文化勲章を受章した、奈良県出身の陶芸家です。 重要無形文化財の制度は1954年の文化財保護法改正によって親切されたもので、氏はこの制度発足後最初に認定された陶芸家の一人です。 同時代の陶芸家で人間国宝に認定されたのは、石黒宗麿・荒川豊蔵・浜田庄司・金重陶陽です。

入社間もない頃、奈良県立美術館の「富本憲吉展ー華麗なる色絵・金銀彩ー」を訪れました。 奈良は私の故郷ですが、歴史建造物や寺院を見に行くことはあっても、美術館に行く機会はありませんでした。 近鉄奈良駅から徒歩5分程、朝一番の奈良の空気は冷たく澄んでいて気持ちよかったです。

富本憲吉の作品は、華やかな更紗模様(四弁花や羊歯)から素朴な風景模様の色絵あり、白磁あり、また日用品あり、 特別展なのでほかの作家の作品もあり、素人の私でも楽しく美術館の中を歩いていました。

氏の有名な文句で「模様から模様を作らない」という考えがあることを知り、 現代でも、氏の作品の模様が、鮮やかで温かみがあり、それでいて身近なものに感じる理由がわかりました。

価値の高い美術品のため、触れることはできなかったのですが、どの作品も手になじむ心地よいものなんだろうな・・・ と思いました。

華やかな模様の作品のなかで、「竹林月夜」という作品は、氏の故郷に対する想いが表れています。 月夜に照らされた風景を模様にしたもので、青が基調の色絵ですが、月光の柔らかさを感じることができます。

氏が表現している日本の美しさに惹かれる人が多いのでしょう。 私もその一人になりました。

この特別展は、東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)が終わり奈良に春がやってきた3月15日で終了しましたが、常設展でも氏の作品は観ることが可能だそうです。

 

外国の人に誇れる日本の美しさを、この仕事を通じて、学んでいきたいです。

これからも、時々ブログに登場しますが、素人ならではの視点で、日本の美をご紹介させていただきます。

 

 

奈良県立美術館の詳しい情報はこちら⇒http://www.pref.nara.jp/11842.htm

 

上の写真は奈良県立美術館様のフェイスブックのカバー写真をお借りしました。

『没後50年 板谷波山展』 を観て

先日、茨城県陶芸美術館で開催されている、『没後50年 板谷波山展』に行ってまいりました。

東京へ出張の用事があり、一日、フリーな日がありましたので、チャンスとばかりに東京から電車に乗って

行きました。

 

この展覧会は陶芸の世界に多大なる、足跡を残した、巨匠 板谷波山の没後50年を記念して、

波山の全容を回顧するというものです。

 

東京美術学校時代の作品(木彫を専攻していたので木彫の作品)からアール・ヌーヴォーを意識していた

時代を経て、波山といえば、あの淡い幻想的で優しく包み込まれるような作品「葆光彩磁」(ほこうさいじ)。

そして、観賞用の作品から茶湯に用いる、用の器の製作へと変わっていきます。

 

勢いのある大作時代から晩年に向かって観ていくと、他の作家によくあるのが、少し間延びするというか、

退屈な感じになる時があるのですが,波山の場合は、青磁の香炉や茶碗等のように形がシンプルなものほど、

作品からひしと緊張感が伝わります。

やはり納得したものしか残さなかった波山の作品への情熱なのでしょう。

それは正しく中国の青磁や窯変天目を見るが如くです。

 

また、波山は関東大震災で被災した方や戦没者に観音聖像を送ったり、80歳以上の老人に鳩杖を送ったり

していました。波山の優しさが窺える一面です。

 

この展覧会は平成25年10月5~12月8日まで

茨城県陶芸美術館で開催されました。

 

来年一年かけて

山形美術館  平成26年4月3日~5月11日

http://www.yamagata-art-museum.or.jp/ja/

 

泉屋博古館分館  平成26年6月14日~8月24日

http://www.sen-oku.or.jp/tokyo/

 

兵庫陶芸美術館  平成26年9月6日~11月30日

http://www.mcart.jp/

 

と開催予定ですので、是非これを機会に板谷波山という陶芸を芸術の域まで登らせた巨人の作品に触れてみてください。

開催予定は変更になる可能性もありますので、事前にご確認下さい。

 

 

 

タイタニック号 沈み行く瞬間を知るバイオリン

先日、イギリスのオークションで、あるバイオリンが1億4000万円で落札されました。

レオナルド・ディカプリオ主演の映画でも知られる、沈没した豪華客船タイタニック号・・・、そのタイタニック号で、沈没する迄演奏し続けていた、楽団リーダーのバイオリンだということです。

恐怖と混乱に怯える乗客を落ち着かせる為に演奏していた楽団員。

そんな彼らも心の中ではどんなに怖かったか、彼らも演奏しながら残してきた家族や恋人との永久の別れをしていたのでしょうか?

バイオリンの写真を見ると、タイタニック号のような悲劇の事故を、もう決して起こさないで欲しい、そう私たちに伝えているように思います。

 

こちらを参考にさせて頂きました⇒http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131020-00000007-jij-eurp

 

 

小野珀子 作 白地金襴手茶盌

サイズ 幅12.0㎝ 高さ7.6㎝
重さ224g
共箱・共布・陶歴付

販売ページはコチラ⇒http://www.bijyutsu.jp/products/item/691

 

こちらには掲載できなかった写真を公開しております。

写真をクリックして頂いても販売ページに移ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

美術館のハシゴ

こんにちは、久しぶりのブログ更新です。

最近、夜は少し秋を感じるようになりましたが、まだまだ暑いですね。

みなさんは体調等崩されてはないでしょうか?暑さに弱い私は通勤だけでヘトヘトです・・・。

 

そんな暑い中、大阪中央区にあります湯木美術館と大阪市立東洋陶磁美術館に行ってまいりました。

二館は歩いて移動できる距離にあります。

まずは、今年の11月に開館25周年を迎える湯木美術館です。

『関西数寄者の茶道具』というテーマで、日本料理「吉兆」の創業者である湯木貞一氏はもちろんのこと、

平瀬露香・藤田傳三郎・寺田甚吉といった当時の経済界の指導者であり、茶道具・古美術の大コレクター

であった彼らの愛した道具の展示です。

館内は落ち着きがあり、小箱の美術館の為、一点一点じっくりと鑑賞できます。

 

さて次は個人的に聖地と思っている、東洋陶磁美術館です。

『白磁を飾る青』というテーマで朝鮮時代の青花の展示です。朝鮮時代の初期のものは精緻で、

少し中国の焼物のような厳しさも感じられます。後期のものになるにつれて、稚拙な部分もありますが、

反面おおらかさがあるように思われます。

簡単に朝鮮時代の青花の歴史を辿って行くことができお勧めです。

 

そろそろ、美術館に行くに適した気温になってくれたらいいですね。

湯木美術館から東洋陶磁美術館に移動する間に、Mole hosoi coffeeさんで一休みしましたが、

珈琲好きな方にはお勧めなお店ですので、休憩がてらに是非お立ち寄りになってはいかがでしょうか。

 

 

湯木美術館   詳細は⇒http://www.yuki-museum.or.jp/

大阪市立東洋陶磁美術館   詳細は⇒http://www.moco.or.jp/index.php

 

 

山田和 作  『炎舞志野茶盌』

山田和 作   炎舞志野茶盌 

 

商品詳細はコチラ⇒http://www.bijyutsu.jp/products/item/607

 

山田和先生のお茶盌です。

炎が舞う・・・読んで字のごとくのお茶盌です。

今、まさに燃え盛る火の中にメラメラと揺れる炎が踊り舞っています。それが窯変の美しさに

よって表されています。

山田和先生のお茶盌は、圧倒的な存在感がありますね。

荒々しいのにやさしい、ごつごつしているのに柔らかい 相反する魅力を持つ一品です。

手にしてみますと ピタッと手のひらに吸い付くような納まりの良さ。

お茶盌は手にして使う物なので、なじむ・なじまないは重要なポイントです。

また、重さも重要です。軽い物では頼りないですし、重いと扱いにくいです。

その点 先生の作品は程よい重量感です。もちろんこの作品も抜群の重量感です。

 

先生はオリジナリティーあふれる作品を たくさん発表され人気があります。

赫釉の赤や織部の黒やグリーンそして炎舞の茶 どれも素敵です。

 1954年(昭和29年)生まれで、先生ご自身にも、作品にもますます深みがでてこられた、

山田和先生のお茶盌で癒しの時間をすごしてみませんか?

お茶室でなくてもテーブルやカウンターでもご自身の好きな場所で、気軽にお茶を点ててみてください。

 

神戸市立博物館『南蛮美術の光と影』

 

昨日、神戸市立博物館で開催されている、『南蛮美術の光と影』展へ行ってまいりました。

GW後の平日ということもあり、関西を代表するオシャレスポットの旧居留地界隈もどこか静かでした。

さて、今回の『南蛮美術の光と影』展ですが、昨年末に東京のサントリー美術館で開催されていたも

のの巡回展です。

南蛮美術の傑作で重要文化財にも指定されており、神戸市立博物館とサントリー美術館とで分蔵さ

れている『泰西王侯騎馬図屏風』が30年ぶりに再会するのを始めとし、南蛮美術に関係する作品が

一同に揃いました。

今回初めて、『泰西王侯騎馬図屏風』を揃って観ることができましたが、8大帝王がそれぞれ優雅に

騎乗から見下ろす姿と「いざ、参らん」とばかりに戦闘体勢にはいる姿は、観る者を圧倒します。

入ってきたばかりの洋画表現を遠近法等矛盾があるにしろ、ここまで威風堂々と描き上げた、当時

の無名の絵師に畏敬の念すら抱いてしまいます。

他にも歴史の教科書でも必ず出てくる、聖フランシスコ・ザヴィエル像(実は重要文化財に指定され

ています)も必見です。変わったものでは『織部南蛮人燭台』なんかはユーモアたっぷりです。

また、江戸時代の鎖国を象徴するものとして、『踏絵』も出ています。私はキリスト教徒ではないで

すが、当時の信仰深い人々がどんな思いで踏んだのか感慨深いものがありましたね。

屏風から絵画・工芸品と南蛮美術を観る良い機会ですので、みなさんも是非足を運んでみられては

いかがでしょうか。

 

これは余談ですが、帰りに南京町にある、洋食屋の老舗『伊藤グリル』さんでタンシチューを食べました。

たまにしか行けないですが、このお店のタンシチューはオススメですよ。

こんな生活が毎日続けばな~と思いながら事務所で作業する私なのでした・・・。

 

神戸市立博物館で開催されている『南蛮美術の光と影』

の詳細はこちら⇒http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/main.html

2012/4/21~6/3迄

 

 

 

 

大阪市立東洋陶磁美術館『マイセン磁器の300年』

昨日、大阪中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館に行ってきました。

1982年の開館から30周年ということで『国立マイセン美術館所蔵 マイセン磁器の300年』

 という特別展が開催されています。

 堂島川に面し静かなこの美術館いっぱいに東インド会社からもたらされた磁器の模倣から

 オリジナルな磁器製造へと続くマイセンの華やかな歴史が展示されています。

 ザクセン選帝侯兼ポーランド王のアウグスト強王の命令のもと磁器製造を1710年に

 王立磁器製作所が、ドイツ東部のマイセンの地に開窯したのがマイセンの始まりです。

 彫刻家ケンドラーによるメナージュリ動物彫刻「嗅ぎ煙草入れを持つサル」は、貴族に

 対する風刺が織り込まれた作品で、何ともいえない表情のサルが、かわいらしいです。

 動物彫刻は、それぞれ「いい顔」しています。(笑)

 マイセンといえば思い出すブルーオニオンやマイセンローズの食器もあり欲しくなって

 しまいます。小さな花をたくさん貼り付けたスノーボールの食器や壺は、本当に見事で

 した。女性ファンの多いフィギュリンももちろんたくさんあり、楽しい時間を過ごしました。

 また、有田の柿右衛門様式の壺とマイセンの壺が並んでいるコーナーも興味深かったです。

 平常展では国宝「油滴天目茶碗」、「嗅ぎ煙草入れを持つサル」が手に持つ、嗅ぎ煙草入れの

 鼻煙壷(沖正一郎コレクション)等も拝見でき休日の午後を堪能しました。

 最後に東洋陶磁美術館に行かれる際は、ホームページから入場割引券を印刷して行きましょう。

 

大阪市立東洋陶磁美術館で開催中の『マイセン磁器の300年』

の詳細は⇒http://www.moco.or.jp/

開催期間 4/7~7/22まで

大阪市立美術館『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』

今日、開館と同時に大阪市立美術館で開催されている、

『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』に行ってまいりました。

「優雅な朝を送っているな(怒)」と思われるかもしれませんが、勉強の為です・・・

(念の為、言い訳を)。

話を戻しますが、契丹(きったん)とはあまり聞いたことがないと思われる方も多いと思います。

確かに、老子や孔子・楽毅・管仲等が活躍した春秋戦国時代・初の皇帝 始皇帝・

漢帝国を築いた劉邦・三国時代と中国史が好きな方も大抵はこのあたりの話が好きでしょう。

(ちなみに私は中学生から三国志が好きです)

あまり詳しくはないのですが、契丹「遼」帝国は唐滅亡後に遊牧系民族が建国した大帝国です。

史料が少ない為、長年「まぼろしの国」と言われていたようですが、近年、学術調査が進められ

たことによって、遺跡などの新発見が相次ぎ、「まぼろしの国」も少しずつ眠りから覚めてきたよ

うです。

この契丹展は考古学好きにも美術好きにもどちらのタイプの方でも楽しめる内容です。

死者に被せていた黄金の仮面や遺体を覆っていた銀糸の葬衣。金の指輪や赤瑪瑙(あかめのう)

と黒水晶の切子玉などでできた豪華な首飾りといった副葬品の数々は契丹という国がかつて

どれだけ繁栄していたかを今に伝えます。

また、ガラス類や漆・焼物も優品が展示されており中でも、『黄釉鳳首瓶』(おうゆうほうしゅへ

い)や『褐釉牡丹文碗』(かつゆうぼたんもんわん)は必見です。首瓶の形は珍しくないですが、

全面に施された艶やかな黄釉にはあまりにも美しく、碗の牡丹文はスタンプによって施されて

いますが、それを感じさせないくらい活き活きとしていました。

『鏡箱・鸚鵡牡丹文鏡』(おうむぼたんもんきょう)も是非見て頂きたいものです。

みなさんも、再開発が進み活気が出てきた天王寺、近くに天王寺動物園(最近人気スポットです)

等が近くにある美術館ですので、散歩がてらに見に行かれてはどうでしょう。

 

大阪市立美術館で開催中の『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』

の詳細は⇒http://www.osaka-art-museum.jp/special/kittan.htm

開催期間 4/10~6/10まで

 

 

藤田美術館 ~藤田傳三郎の奇跡~

昨日、休みを利用して大阪市都島区にある藤田美術館に行ってまいりました。

私の好きな美術館の一つで、昨日のNHKの日曜美術館でも紹介されていました。

当美術館は明治時代の実業家藤田傳三郎と二人の息子らによって東洋の古美術を中心に収集された

コレクションで、収蔵品5000件の内、国宝9件・重要文化財50件と質の高い文化財・美術品を保存展示

されています。

今企画の内容は、藤田傳三郎の13回忌にあたる大正13年に開かれた追悼の茶会の際に用いられた

美需品の展示です。

中でも特に有名なのが、玄奘三蔵絵(げんじょうさんぞうえ)ではないでしょうか。西遊記で有名な玄奘の

生涯を描く全12巻からなる壮大な絵巻物で、国宝に指定されています。鎌倉時代の作品ではありますが、

保存状態も良く今でも沢山の人を惹きつける魅力溢れる作品です。

個人的に楽しみにしていたのが、交趾大亀香合(こうちおおがめこうごう)です。明から清時代のもので

江戸時代から著名な香合です。この香合、まず面白いのが大きさで、他の亀型香合に見られない

大きさは見るものを圧倒します。

また、彩色も良く、黄色をベースに甲羅に緑等が配され、その影響でしょうか愛らしくさえ思えます。

この交趾大亀香合は藤田傳三郎が長年欲していたもので今の金額で9億円もの大金を払ってまで

手に入れたそうです。

実業家・藤田傳三郎は今の大阪の発展には無くてならない人物です。(元々彼は山口県の出身で、

幕末の志士、木戸孝允や高杉晋作の家が近所で金銭面の支援をしていました)そんな人物が

収集した貴重な美術品がこんな近くで見られるというのも感謝しなければならないように思えます。

今回は展示されていませんが、国宝の曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)もお勧めですので、

機会があれば是非ご覧頂たいです。

 

藤田美術館の詳細はこちら⇒http://www.city.okayama.jp/museum/fujita/

日曜美術館の詳細はこちら⇒http://www.nhk.or.jp/nichibi/