美術品の極みブログ ~ 若手古美術商の奮闘記

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美術館のハシゴ

こんにちは、久しぶりのブログ更新です。

最近、夜は少し秋を感じるようになりましたが、まだまだ暑いですね。

みなさんは体調等崩されてはないでしょうか?暑さに弱い私は通勤だけでヘトヘトです・・・。

 

そんな暑い中、大阪中央区にあります湯木美術館と大阪市立東洋陶磁美術館に行ってまいりました。

二館は歩いて移動できる距離にあります。

まずは、今年の11月に開館25周年を迎える湯木美術館です。

『関西数寄者の茶道具』というテーマで、日本料理「吉兆」の創業者である湯木貞一氏はもちろんのこと、

平瀬露香・藤田傳三郎・寺田甚吉といった当時の経済界の指導者であり、茶道具・古美術の大コレクター

であった彼らの愛した道具の展示です。

館内は落ち着きがあり、小箱の美術館の為、一点一点じっくりと鑑賞できます。

 

さて次は個人的に聖地と思っている、東洋陶磁美術館です。

『白磁を飾る青』というテーマで朝鮮時代の青花の展示です。朝鮮時代の初期のものは精緻で、

少し中国の焼物のような厳しさも感じられます。後期のものになるにつれて、稚拙な部分もありますが、

反面おおらかさがあるように思われます。

簡単に朝鮮時代の青花の歴史を辿って行くことができお勧めです。

 

そろそろ、美術館に行くに適した気温になってくれたらいいですね。

湯木美術館から東洋陶磁美術館に移動する間に、Mole hosoi coffeeさんで一休みしましたが、

珈琲好きな方にはお勧めなお店ですので、休憩がてらに是非お立ち寄りになってはいかがでしょうか。

 

 

湯木美術館   詳細は⇒http://www.yuki-museum.or.jp/

大阪市立東洋陶磁美術館   詳細は⇒http://www.moco.or.jp/index.php

 

 

山田和 作  『炎舞志野茶盌』

山田和 作   炎舞志野茶盌 

 

商品詳細はコチラ⇒http://www.bijyutsu.jp/products/item/607

 

山田和先生のお茶盌です。

炎が舞う・・・読んで字のごとくのお茶盌です。

今、まさに燃え盛る火の中にメラメラと揺れる炎が踊り舞っています。それが窯変の美しさに

よって表されています。

山田和先生のお茶盌は、圧倒的な存在感がありますね。

荒々しいのにやさしい、ごつごつしているのに柔らかい 相反する魅力を持つ一品です。

手にしてみますと ピタッと手のひらに吸い付くような納まりの良さ。

お茶盌は手にして使う物なので、なじむ・なじまないは重要なポイントです。

また、重さも重要です。軽い物では頼りないですし、重いと扱いにくいです。

その点 先生の作品は程よい重量感です。もちろんこの作品も抜群の重量感です。

 

先生はオリジナリティーあふれる作品を たくさん発表され人気があります。

赫釉の赤や織部の黒やグリーンそして炎舞の茶 どれも素敵です。

 1954年(昭和29年)生まれで、先生ご自身にも、作品にもますます深みがでてこられた、

山田和先生のお茶盌で癒しの時間をすごしてみませんか?

お茶室でなくてもテーブルやカウンターでもご自身の好きな場所で、気軽にお茶を点ててみてください。

 

熊野九郎右ヱ門 作  『越前志乃徳利』

熊野九郎右ヱ門 作  「越前志乃徳利」

商品の詳細は⇒http://www.bijyutsu.jp/products/detail.php?product_id=440

 

1520度。

熔解ぎりぎりの温度で焼成される熊野先生の作品をご紹介いたします。

熊野先生らしい、迫力があり大きな徳利です。

とても大きいのですが持ってみるとその軽さに驚きます。

大胆な釉薬の掛かり方、徳利を回しながら見ていくと釉薬がどっぷりかかっている個所や、

土肌が見える個所、どの角度も良い景色なので見飽きません。

外観は硬派、しかし持ってみると女性に優しい軽さ、以外に紳士と少し抽象的ですが・・・。

この作品で熊野先生の魅力に引き込まれますよ。

 

安倍安人  『備前徳利』

安部安人 作  「備前徳利」

 

商品の詳細は⇒http://www.bijyutsu.jp/products/item/579

 

徳利のフォルムに魅せられます。

何とも言えない安部先生の優れた感性から生まれたフォルム。

 持つ手に程よく感じる重みがあり、上に行くにしたがってわずかな角度で内側にむいていきますが、

そのわずかな角度が手に収まりよくしています。

また、おなじみの窯変も見所ですし、表面に走る櫛跡のような線も荒々しく見え、徳利そのものの

存在感を引き立てています。

 

そろそろ父の日の贈り物を考える頃ですが、この徳利を挟んで酒を酌み交わし、

日頃は照れくさくなるような話もできそうな気がします。

西岡小十 作  『斑唐津ぐいのみ』

西岡小十 作   「斑唐津ぐいのみ」

商品の詳細⇒http://www.bijyutsu.jp/products/detail.php?product_id=573

 

西岡小十先生の作品のご紹介をさせていただきます。

やさしいピンクの窯変。白い釉薬は薄く掛けられ底までとどいておらず、奥ゆかしく、

均整のとれた形。

ご覧いただければ、形の美しさ・窯変に目を奪われます。

 

お酒を注ぐと優しい雰囲気に包まれ、手に取ると柔らかい物に触れているかのように

そっと触れたくなります。

 

是非、コレクションに加えていいただきたい逸品です。

神戸市立博物館『南蛮美術の光と影』

 

昨日、神戸市立博物館で開催されている、『南蛮美術の光と影』展へ行ってまいりました。

GW後の平日ということもあり、関西を代表するオシャレスポットの旧居留地界隈もどこか静かでした。

さて、今回の『南蛮美術の光と影』展ですが、昨年末に東京のサントリー美術館で開催されていたも

のの巡回展です。

南蛮美術の傑作で重要文化財にも指定されており、神戸市立博物館とサントリー美術館とで分蔵さ

れている『泰西王侯騎馬図屏風』が30年ぶりに再会するのを始めとし、南蛮美術に関係する作品が

一同に揃いました。

今回初めて、『泰西王侯騎馬図屏風』を揃って観ることができましたが、8大帝王がそれぞれ優雅に

騎乗から見下ろす姿と「いざ、参らん」とばかりに戦闘体勢にはいる姿は、観る者を圧倒します。

入ってきたばかりの洋画表現を遠近法等矛盾があるにしろ、ここまで威風堂々と描き上げた、当時

の無名の絵師に畏敬の念すら抱いてしまいます。

他にも歴史の教科書でも必ず出てくる、聖フランシスコ・ザヴィエル像(実は重要文化財に指定され

ています)も必見です。変わったものでは『織部南蛮人燭台』なんかはユーモアたっぷりです。

また、江戸時代の鎖国を象徴するものとして、『踏絵』も出ています。私はキリスト教徒ではないで

すが、当時の信仰深い人々がどんな思いで踏んだのか感慨深いものがありましたね。

屏風から絵画・工芸品と南蛮美術を観る良い機会ですので、みなさんも是非足を運んでみられては

いかがでしょうか。

 

これは余談ですが、帰りに南京町にある、洋食屋の老舗『伊藤グリル』さんでタンシチューを食べました。

たまにしか行けないですが、このお店のタンシチューはオススメですよ。

こんな生活が毎日続けばな~と思いながら事務所で作業する私なのでした・・・。

 

神戸市立博物館で開催されている『南蛮美術の光と影』

の詳細はこちら⇒http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/main.html

2012/4/21~6/3迄

 

 

 

 

大阪市立東洋陶磁美術館『マイセン磁器の300年』

昨日、大阪中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館に行ってきました。

1982年の開館から30周年ということで『国立マイセン美術館所蔵 マイセン磁器の300年』

 という特別展が開催されています。

 堂島川に面し静かなこの美術館いっぱいに東インド会社からもたらされた磁器の模倣から

 オリジナルな磁器製造へと続くマイセンの華やかな歴史が展示されています。

 ザクセン選帝侯兼ポーランド王のアウグスト強王の命令のもと磁器製造を1710年に

 王立磁器製作所が、ドイツ東部のマイセンの地に開窯したのがマイセンの始まりです。

 彫刻家ケンドラーによるメナージュリ動物彫刻「嗅ぎ煙草入れを持つサル」は、貴族に

 対する風刺が織り込まれた作品で、何ともいえない表情のサルが、かわいらしいです。

 動物彫刻は、それぞれ「いい顔」しています。(笑)

 マイセンといえば思い出すブルーオニオンやマイセンローズの食器もあり欲しくなって

 しまいます。小さな花をたくさん貼り付けたスノーボールの食器や壺は、本当に見事で

 した。女性ファンの多いフィギュリンももちろんたくさんあり、楽しい時間を過ごしました。

 また、有田の柿右衛門様式の壺とマイセンの壺が並んでいるコーナーも興味深かったです。

 平常展では国宝「油滴天目茶碗」、「嗅ぎ煙草入れを持つサル」が手に持つ、嗅ぎ煙草入れの

 鼻煙壷(沖正一郎コレクション)等も拝見でき休日の午後を堪能しました。

 最後に東洋陶磁美術館に行かれる際は、ホームページから入場割引券を印刷して行きましょう。

 

大阪市立東洋陶磁美術館で開催中の『マイセン磁器の300年』

の詳細は⇒http://www.moco.or.jp/

開催期間 4/7~7/22まで

井上萬二 白磁壷

純白の白磁といえば、人間国宝の井上萬二先生です。

ファンの方も多く、弊社サイト『美術品の極』でも問い合わせが多い作家の一人です。

さて今回はその井上萬二先生の白磁の壷をご紹介したいと思います。

ご覧下さい、この純白の輝きそしてこの形を。

(商品の詳細は写真をクリックしてください)

この形も轆轤(ろくろ)から生み出されます。

白磁の人間国宝は轆轤の名人でもあるのです。

端正な姿・・・、どちらかというと愛らしい形といえましょう。

サイズも程よい大きさで、いろいろな広さのお部屋に置いて楽しめそうです。

また、高台の削りが素晴らしく、見所の一つです。丸みを帯び横に広い体を

シャ-プに削り取られた高台が支えます。

相反する要素が、絶妙なバランスで一つの壷を構成しているのです。

今まで、壷類を購入されたことがない方にも自信を持ってお勧めできる作品かと思います。

 

 

 

三輪龍作(現 十二代 三輪休雪)

三輪龍作(みわ りゅうさく)

「愛文酒盃」

三輪龍作先生の世界感は、可視化(実際に見えないものを見る・感じる)を表現される。

この酒盃も、誰かが思いを発してくれているように感じる。

ハートが上向きだったり、下向きだったり、盃の中を覗き込むとキュートなハートがまた一つ・・・。

仕事が終わり、誰かに思いを馳せながら一人呑むお酒、そんな至福の一杯のお供にいかがでしょうか?

 

昭和15年(1940)十一代三輪休雪(三輪壽雪)の長男として生まれる。

本来は叔父(十代三輪休雪)の養子となった弟・三輪栄造氏が継ぐことになっていたが、

平成11年(1999)他界したため、平成15年(2003年)十二代 三輪休雪を継いだ。

長州藩御用窯を務めた400年続く萩の名門窯に生まれながらも、伝統文化の環境に縛られることなく、

焼き物を自己表現として造形的な作品を作り続けてきた。

造形的な作品のモチーフは、ハイヒール・唇・乳房・頭蓋骨といった身体の一部を使い、人の深層心理を飾る

ことなく表現しており、日本映画の映像に出てくるより、アメリのようなフランス映画で使われるほうが向いて

いるように今までは感じていました。

昨年「てふてふ展」を拝見しましたが、純白の雪のような釉薬がどっぷり掛かっている上に、

てふてふ(てふてふとは蝶々の旧仮名使い)が1匹止まっており、春を楽しむてふてふの小さな温もりを感じ

させてくれる作品を観て、今までの「愛(エロス)」とはまた違う愛の表現のように感じました。

亡くなった弟・三輪栄造氏への想いかもしれません。

現代と伝統(名門窯)の世界の中で自らの表現を追い求め、常に歩みを止めない三輪龍作氏の作品から

これからも目がはなせない。

 

 

三輪龍作 作  愛文酒盃

商品の詳細は写真をクリックしてください。

 

大阪市立美術館『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』

今日、開館と同時に大阪市立美術館で開催されている、

『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』に行ってまいりました。

「優雅な朝を送っているな(怒)」と思われるかもしれませんが、勉強の為です・・・

(念の為、言い訳を)。

話を戻しますが、契丹(きったん)とはあまり聞いたことがないと思われる方も多いと思います。

確かに、老子や孔子・楽毅・管仲等が活躍した春秋戦国時代・初の皇帝 始皇帝・

漢帝国を築いた劉邦・三国時代と中国史が好きな方も大抵はこのあたりの話が好きでしょう。

(ちなみに私は中学生から三国志が好きです)

あまり詳しくはないのですが、契丹「遼」帝国は唐滅亡後に遊牧系民族が建国した大帝国です。

史料が少ない為、長年「まぼろしの国」と言われていたようですが、近年、学術調査が進められ

たことによって、遺跡などの新発見が相次ぎ、「まぼろしの国」も少しずつ眠りから覚めてきたよ

うです。

この契丹展は考古学好きにも美術好きにもどちらのタイプの方でも楽しめる内容です。

死者に被せていた黄金の仮面や遺体を覆っていた銀糸の葬衣。金の指輪や赤瑪瑙(あかめのう)

と黒水晶の切子玉などでできた豪華な首飾りといった副葬品の数々は契丹という国がかつて

どれだけ繁栄していたかを今に伝えます。

また、ガラス類や漆・焼物も優品が展示されており中でも、『黄釉鳳首瓶』(おうゆうほうしゅへ

い)や『褐釉牡丹文碗』(かつゆうぼたんもんわん)は必見です。首瓶の形は珍しくないですが、

全面に施された艶やかな黄釉にはあまりにも美しく、碗の牡丹文はスタンプによって施されて

いますが、それを感じさせないくらい活き活きとしていました。

『鏡箱・鸚鵡牡丹文鏡』(おうむぼたんもんきょう)も是非見て頂きたいものです。

みなさんも、再開発が進み活気が出てきた天王寺、近くに天王寺動物園(最近人気スポットです)

等が近くにある美術館ですので、散歩がてらに見に行かれてはどうでしょう。

 

大阪市立美術館で開催中の『草原の王朝 契丹 ~美しき3人のプリンセス~』

の詳細は⇒http://www.osaka-art-museum.jp/special/kittan.htm

開催期間 4/10~6/10まで