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河井寛次郎のすごさを『鍾渓窯(しょうけいよう)』から考えてみる

陶芸や美術のことに興味がない方でも『河井寛次郎』の名は覚えがあることと思う。

京都の五条坂付近を旅したついでに記念館に立ち寄った、と言う方も多いはず。

 

この河井寛次郎の作品は多くの美術館や百貨店、または古美術店で見る機会があるとは思いますが、その多くは大正13年に英国のスリップ・ウェアに感動を受け『民藝』というものを追い求めた寛次郎の作品ではないでしょうか。

 

ではそれ以前の作品はどうなのか?

僕のような若輩が語るまでもなく皆様ご存知だとは思いますが・・・。

 

大正9年に清水六兵衛の窯を譲り受け、『鍾渓窯(しょうけいよう)』と名付け、英国陶に出会うまでのほんの数年、中国や朝鮮の古陶磁を模範とした作品を製作していました。

 

 

一見すると玳玻盞(13世紀宋時代)のようなこの陶器、31歳(大正10年)の寛次郎の作品です。

裏を見ると・・・

 

 

葉模様になっていて、これは白磁や青磁に見られる形です。

釉薬の技術や造形の基礎はすでにこの若さで完成していたのかと思うほどです。

 

『民藝』という新しい分野を切り開いていった寛次郎のすごさは、この土台があってこそのものだったように思います。

 

どうしても晩年に近い作品が高い評価をされがちですが、この時代の作品にも目を向けてみてください。

寛次郎がどれだけスゴイか、そしてなぜ評価が高いのか、また今までとは違った目線で楽しんでいただけるかと思います。

 

いつか『極』で扱ってみたいものです・・

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